1) 1社3波体制の確立
フジはメディア・コンプレックスを実現するために、CS放送、BS放送、地上放送を保有し、1社3波体制を実現している。民放で1社3波体制を実施しているのはフジだけである。日枝社長は
- 「メディアを押さえなかったら、コンテンツをいくら作ってもダメ。蛇口を押さえないと番組を作っても流せない」(週刊東洋経済 2000年4.29−5.6号)
と狙いを語っている。
CS放送では、フジは、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(以下パーフェクトTV)の筆頭株主であり、経営陣を送り込んでいる。パーフェクトTVは、多チャンネル放送を行い、個人契約者数は183万人である。2000年3月に競合企業であったディレクTVを統合した。現在、国内のCS放送はスカイパーフェクトTVの1社だけである。
BSデジタル放送に対しては、FNS系列各社が株式会社ビー・エス・フジ(以下BSフジ)を立ち上げ、フジは約20%の出資を行っている。BSフジは若い世代を狙ってサッカーのワールドカップ予選や「北の国から」「踊る大捜査線」など人気ドラマを放送する予定である。エンターテイメントを中心にハイビジョン放送で、さらに番組連動型のデータ放送も実施する予定である。
地上デジタル放送に対しては、既にフジの新社屋で、デジタル放送の設備を完備している。また、フジは「バリアブル・ビット・レート(VBR)」(画像の動きのレベルに合わせて帯域幅を変動させる技術。例えば、ニュースなどの動きの少ない画像の伝送時には帯域を節約するなど)を独自開発し、この技術を活用して、コンテンツのダウンロードを実現する取り組みを行っている。デジタル放送に向けて準備を進めている。
2) インターネット分野への進出
| 図表4 フジテレビが考えるデジタル放送と通信の融合 |
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インターネットを中心に通信分野にも積極的に進出を行っている。日枝社長が
- 「私は社内に対し、放送も通信に打って出ようと言っている。打って出ないと勝てない」(週刊東洋経済 2000年4.29−5.6号)
と述べている。具体的には、みっつのことを行っている。
ひとつは、インターネット事業への参入である。2000年6月に、会員数約5万人の中堅ネット接続サービス会社ピープル・ワールドの発行済み株式95%をIBMや三菱商事から取得し、傘下に収めた。インターネット技術やインフラを取り込み通信事業の基盤を確保し、しかもフジのホームページと連動させることで、ホームページの集客力の向上を可能にすることが買収の狙いである。
ふたつめは、インターネットでのコンテンツの提供である。フジは、秋元康がプロデュースする連続ドラマ「女子アナ探偵」を20分間テレビで放送し、その直後からインターネットで2分前後続きの内容を流してしている。
みっつめは、インターネットとイベントの連動である。フジは「お台場どっと混む」という名前でイベントを開催し、同時にイベント専用のサイトを開設した。そのサイトでは、イベントの情報だけでなく、ドラマを流し、ネットだけのイベントも開催している(図表4)。