100%ORANGE(オレンジ)「ドーナッツ!」:100%ORANGEインタビュー


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質問です。「なんでイラストレーターになろうとしたのですか? どうしたらなることができるんでしょうか?」

竹内: いいことか悪いことかわからないんですけど…最初からイラストレーターになりたいと思って頑張ってたわけじゃないんですよ。本当に色んな偶然が重なってイラストレーターになったんです。
だから、どうやったらなれるかってのは私たちにもわからなくて…

----  ある程度成功した方にインタビューすると、みなさん必ず「幸運な偶然が重なって」って言いますね。

及川: 確かにそうですね。

----  たぶんみんな、その「偶然を呼び込む方法」を知りたがってると思います。偶然を呼び込むコツとかってあるんですかね?

及川: なんでしょう。うーん…まずは、やっぱ常に描いていることじゃないでしょうか?

竹内: ほんと描いてることだよね。描いてないと偶然は生まれない。

及川: 僕ら、例えば人柄が好かれてるとか、そういうことはないと思うんですよね(笑)。だからたぶん、偶然を呼ぶってことで言うと、僕たちは人が偶然を呼んでるんじゃなくて、絵が偶然を呼んでるんですよね。それで世界が広がっていって。

竹内: だから遊びでやるんじゃなくて、自信をもって描き続けていれば、結果は後からついてくると思います。

及川: うん、遊びでやってるものはやっぱ全然絵とかも違うもの。なんか迫ってくるものがないっていうか。

----  100%ORANGEさんは、イラストレーターになる前は、遊びじゃなくて、でも「絶対イラストレーターになる」という決意があるわけでもなくて…どういうスタンスで絵を描いていたのですか?

竹内: 最初からイラストレーターになろうと思っていた訳じゃないし、むしろまさか絵で食べていけるとは思ってなかったんですけど、イラストを描くことって、私たちにとっては、生活の中、気持ちの中で8割とか9割占めてるくらい大切なことで。

及川: 好きな人に、好きだからあとさき考えないで電話しちゃうとか、そういうのに近かったかもしれないですね。

竹内: だからイラストが認められなかったらどうしようとか、そういう風には考えたことはないです。さすがに今は仕事であり、生活の一部になってますので、仕事が無くなったらどうしようとは思いますけど…

及川: イラストを描くことに関しては、やめるとかやめないとかそういうレベルではないですね。思わず描いているといった感じ…

竹内: 自分のためっていうか…なんていうんだろう?

及川: 外や他の人を意識してるんじゃなくて…自分は「自分がいい」って思ったものを好きで描いてたんだけど、それが他の人の共感を呼べたのが嬉しく思います。

----  なるほど。周りにあまり振り回されないで、自分がいいと思ったものをピュアに追って、描き続けていると、何か幸運な偶然が起きるのかもしれませんね。

竹内: そうそう。だから逆に「どうやったらなれるだろう」とか考えないで、自分の世界を作っていった方がいいと思いますね。

及川: それと、人には見せていった方がいいよね。

竹内: まあね。一人で描いていても、独りよがりだと色々大変ですよね。自分たちにも言える事ですが。

及川: 独りよがりが共感を呼べればいいんだけど、全く呼べないと、“なんだこれ気持ち悪い”みたいなものになりがちだからね…

----  自分の世界を追求していって、それが共感を呼ぶ場合と、独りよがりに終わる場合って、どう違うんだと思いますか?

竹内: そこは、私たちに限っての話なんですけど、私たちが2人だったっていうのが良かったんだと思います。私たちが2人だったから、本当の独りよがりを止められたって気がするんですよ。

及川: リアルなバッタの絵とかね、それはちょっと違うんじゃないかとか(笑)。見せ合って話し合って、ある程度2人でイメージを作っていきますからね。

竹内: 他の2人組の人も、そういうことしてると思うんですよ。偶然っていうことで言えば、それも良い偶然だったのかもしれませんね。

及川: 光るものを持ってる人って、目の付け所がちょっと違うと思うんですよね。パターンから抜け出すコツって、自分で自分の絵を「可愛い系」とか決めちゃわないことですよね。もっと自分でもよく判んないんだけど、何故かこういうの描いちゃうっていう方向に持っていくといいと思います。僕らだって、他の人から見たら何かのジャンルに入ってるのかも判らないけど、でも本人としては何のジャンルにも捕らわれないでやっているつもりだから。

spoon.: ウチにもよくイラストの持ち込みの方とかいらっしゃるんですけど、自分で自分の作品のこと「誰々系」とか、もっとすごいと「誰々系も誰々系も描けます」って言ってくるんですよね。器用だなとは思いますけど。

及川: ヘタしたらなんでも描けるって人もいると思うんだけど。それがやってて面白ければいいんだけど…でもやっぱり芸術家みたいに、自分で思って突っ込んで行くってのも仕事の一部って言うか、作業のひとつだと思うんですよ。僕らも最初全然可愛いの描いてなかったから。だから可愛い絵を描くってのが自分でもすごい衝撃があって。それをきっと「可愛いの描きたい」と思って可愛いの描いてる人が多いと思うんですよね。そういうのって結果が見えてるっていうか、予定通りのものが描けてるっていうか。

竹内: 偶然が起きる確率が低くなりますよね。最近は絵自体もパソコンで描く人が増えてきて、パソコンで書くと偶然が少なくなるんですよね。そうすると完成度も90%とかで、120%!ってのが生まれないんですよね。どんなに頑張っても100%で終わる。絵に偶然が起きないと自分の周りにも偶然が起こりにくいんじゃないかな。

spoon.: でも、どんな状況下でも偶然ってあると思うので、それに目を向けてればいいのかも知れません…

----  まあ、予想の範囲内で何でも描ける人も必要かもしれないですけど。楽しいかどうかってのは微妙かもしれないですね。

竹内: イラストレーターじゃなくても描けますからね。絵のうまいひとはいっぱいいます。

及川: 自分が誰々風の人でいいのかってのもあるよね。やっぱ誰々風で終わるのってヤじゃない。でも、突っ込んでいって逸脱したものを描くと「気持ち悪い」とか「判んない」とか言われたりするから、これはもうかなり綱渡りなんですけど。

----  「突っ込んでいく」って、「新しい価値観」を探すとか、そういうことですよね?

竹内: そうですね。

----  それって、どうやってるんですか?

竹内: なんだろう…新しい価値観の素って、なんか普段生活していて、ふと引っかかるものだと思いますね。

及川: その引っかかるものって、引っかかりを探るっていうか、引っかかったと思ったらちゃんと感じるっていうか…。普通そのまま流しちゃうと思うんですよ、いちいち引っかかってたら面倒くさいし。電車のおじさんの髪型とかにいちいち「あー! これはー!」とか思ってたら疲れちゃうんですけど(笑)、やっぱ本当に引っかかったものは大事にして感じておかないと、あとで悔しいんですよね。

竹内: よく色んな人が言う「急に思いついてメモを取る」とか、そういうのと同じかも。でも、そういう引っかかりを見つけるのって、雑誌とかテレビとかじゃないんですよ。あれは人が見つけてきたものだから…見てると楽しいんだけど、そこから何かを生み出すのは難しい。

及川: オシャレなものに感動してオシャレなものを作るんじゃなくて、オシャレじゃないものに感動してオシャレなものを作るっていうか、そこで強さが生まれるって言うか、120%のところっていうか、足りないところって言うか、なんかその、引っかかってでてきたものって…。つまり、予定通りのものって、全然引っかかんなくても描けるんですよ。自分でも普段はだいたい100%のものを描こうと目指して頑張ってるんですけど、時々ちゃんと引っかかりを表現できるときがあって、ホントにその引っかかりと自分の絵が混じると、120%の、予定以上の絵になるんですよね。「いいなこれ! 古びないぞこれは!」みたいな(笑)。

竹内: 結果的にも、そういう作品が反響が大きかったりします。

----  ちゃんと引っかかってそれを表現するですか…それって、ものすごく難しそうですね。

竹内: そうですね。しかも、引っかかるの探さなきゃっていうのもなんか違うと思ってて(笑)。

及川: 女の子って引っかかり捜しみたいなの好きですよね。でもそういった引っかかりって、たぶん予定通りの、予想されうる、パターンにはまった引っかかりだと思うんですよ。それじゃダメで、引っかかりは、そこだけは自分だけのものじゃないといけない、強さが生まれてこないと思うんですよねー。自分だけの引っかかるものを大事にして追求して、そしてそれを表現してゆく。それがメッセージになるし。

竹内: でも最近私たちも不安なんですよ。引っかかるのが面倒くさくなりはじめたり、何も感じない・・そういう時期もあったりして。

及川: すごい忙しくても、きっとできる人はできると思うんですけどね。引っかかりとか、グッとくるとか、気になるとか…でも焦って探そう探そうとしても、それは仕事になっちゃってうまくいかないんですよね。そういうときって、イラストも80%ぐらいのものしかできくて。

竹内: で、結局悪循環に陥ってしまって。

及川: そういう時って誰にでもあるのかもしれないですけど、その場合、写真家とかって、イラストレーターより難しい状況に陥っちゃうと思うんですよね。

spoon.: 某カメラマンがおっしゃってたんですけど、写真なんてとりあえずシャッター押しちゃえば撮れちゃうから怖いって。でもそれに甘んじないよう踏ん張るのが…

竹内: 大変ですねー。絵の方が楽かもしれませんね(笑)。

----  それにしても、この質問って凄いたくさん来てるんですけど、ほんと答えにくいですよね。

竹内: ええ。でもほんとハッキリ言って努力次第だとも思うんですよね。

及川: 松井が夜中スイング練習してるようなものです。

竹内: 自分で言うのもなんですけど、私たちも努力してないわけではないので、なんかすごい楽にやってるように見えますけど(笑)。

及川: 楽な画風ですねとか。

竹内: 描くの早いでしょとかね(笑)実際早いですが(笑)。


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