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@nifty『シュガーな俺』


第3章:決意(3)(8/21)


 食事療法とは、ひとことで言えば、医師が指示したカロリー量の範囲内で毎日の食事を取ることだ。

 一日のカロリー量は、基本的にはその人の身長から割り出した標準体重や仕事の性質(座業か肉体労働か)などから、ある計算式によって算出される。ただ、一日のうちの任意のタイミングでその分を食べていればいいというわけではなく、それをなるべく均等になるように三回に分け、朝・昼・晩、規則正しく食べなければならない。時間帯によって血糖値に極端なばらつきが出るのも、膵臓にとって負担が大きい状態だからだ。

 また、指示カロリー量の範囲内に収まっているからと言って、肉だけ食べるとかパンだけで済ませるなど、内容が偏った食事を取ることは好ましくない。できるだけまんべんなく、あらゆる栄養素を摂取しなければならない。

 ただし、「食べてはいけない」ものは、基本的にはない。よく「脂はよくない」などと言われるが、それは脂のカロリーが高いため、「たくさん食べるのがよくない」ということであって、肉体を維持するためには、糖尿病患者といえどもやはり油脂も必要なのである。もちろん、糖分もだ。炭水化物、肉類、野菜類、油脂、味噌をはじめとする調味料など、食材のジャンルごとに理想的な「内訳」が決められていて、計三食分、それらのカロリー量を集計したものが、「指示カロリー量」に収まっていればいい、ということだ。

 だったら、菓子やアルコールだって、そこに収まる範囲内で食事に組み込んでしまえば摂取できるのではないか。誰もが考えることだろう。しかし菓子は一般にあまりに高カロリーで、食事に取り入れるのは現実的ではないし、アルコールに至っては、エネルギーにはなっても「栄養」と見なすことはできない上に、合併症などにも悪影響を及ぼすので、原則として摂取は奨励されていない。
 
 いずれにせよ、一見して相当難物だということがわかる。一種のパズルのようなものだ。それを毎日三回、食事のたびごとに組み立てろというのだ。ちょっと想像してみただけで、気が遠くなる。

 もちろん、どんな食材が何グラムで何キロカロリーかなんて、普通の人にはわからない。それの参考に供するために、日本糖尿病学会から『食品交換表』なるものが刊行されているようなのだが、さしあたってそれは手元にない。詳しいことは追々勉強していくことにして、とりあえず、本に載っているレシピをどれか選んで、さっそく今夜の夕食としてみることにした。

 この本のいいところは、料理単位ではなく「一食」単位でレシピを紹介してくれているところだ。しかもそれを、見開きで三食分、つまり一日分の「献立」としてセットにしてある。もちろん、カロリーも計算済みである。理論的には、この本で紹介されているとおりに朝・昼・晩と食事を作っていけば、理想的な形で指示カロリーが守れるという仕組みだ。

 カロリー量はまだ「指示」されていないが、本に載っていた例を参考に計算してみると、僕は一日千六百キロカロリーはいけそうだった。そこで、「千六百キロカロリー(二十単位)の食事」のページを開いてみる。

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