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■第4章:入院(2)(8/28)
そうして僕は、入院初日を迎えた。
奈津はもともと時差ボケ調整のためこの日の午前まで休暇を取っていたので、それをつぶして付き添ってくれた。
都立新宿病院は、十八階建てのビルに入っている巨大な総合病院だ。うち、九階から十五階までは病棟に充てられている。一階総合受付での簡単な入院手続きの後、僕と奈津は十一階の内科病棟に案内された。担当看護師の大崎さんは、小柄だが頼りになりそうな肝っ玉母さんという雰囲気の人で、入院初体験の心細さはそれだけでもずいぶん緩和させられた。
「ここがデイルーム、テレビはこちらなら午後十時まで無料で観られます。給茶器もあそこにあります。冷蔵庫になにかを入れるときは自分の名前を書いて。トイレはあちら。浴室はこの通路を進んで右側にあります」
大崎さんが淀みなくフロア内の案内をするが、淀みがなさすぎて情報が頭に入ってこない。でもそれはたぶん、入院をするというのが、心のどこかで人ごとみたいに感じられているためでもあるのだろう。好むと好まざるとにかかわらず、これから一ヶ月は、ここに寝泊まりして、ここから会社に通わなければならないというのに。
割り当てられた五号室は四人部屋で、残り三つのベッドは先客で埋まっている。小さなロッカーと、キャスターつきのベッドサイドテーブル。専用のテレビも置かれているが、観るためにはプリペイドカードを購入しなければならないようだ。
「貴重品などはロッカーに入れて、必ず施錠してください。南京錠、下の売店で売ってますから。実際、盗難が多いんですよ。いろんな人が出入りしてますから」
そう言い残して、大崎さんは立ち去った。病棟内で盗難が多いというのは意外な気がしたが、実際、出入りのチェックはそれほど厳格にやっているわけでもないようだし、何と言っても一歩外に出ればそこは歌舞伎町、セキュリティはあくまで自己管理で、ということらしい。
奈津と一緒に、同室の人たちによろしくと挨拶して回っていたら、主治医である立花医師が巨体を揺らしながらやってきた。
「片瀬さん、ようこそいらっしゃいました」
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