平山瑞穂
シュガーな俺



第8章:見舞う人々(1)

 僕はと言うと、そんな海野さんに対して申し訳なく思ってしまうほど、孤独とは無縁な入院生活だ。そもそも毎日会社に通っている上に、二日に一度は奈津が、それに重ねて数日おきにだれかしらが見舞いに訪れてくれたからだ。その大半は、会社の親しい同僚だ。母が心配して様子を見に来るのはいいとして、会社でも顔を合わせている彼らが来るのは、「見舞い」と言うよりはおもしろがって「遊びに来ている」のに近い。

 それでも病棟を訪問する以上なにか手みやげを、と考えたところで、みんなちょっと困ってしまうようだ。普通なら果物かお菓子か、となるところだが、糖尿病患者に栄養物は禁物。めいめい気をきかせて、ティーバッグやらドリップコーヒーの紙製使い捨てパックやら、ベッドサイドに置ける小物、漫画本など、「カロリーのないもの」を選んで持参してくれる。

 病室は空気が悪いので、彼らが来ればデイルームに行ってお茶くらいは振る舞うわけだが、その全員がなぜか、亜梨沙も含め、女だった。理由はたぶん二つある。僕はもともと、同性よりも異性と仲良くなりやすいタイプだし、誰かの「見舞いに行く」といった類いのことには、一般に女性の方が男性より気が回るからだ。結果としては、毎日のように僕のもとにだれかしら「女が訪ねて」きているという形になる。海野さんがそれをいくぶん訝しそうに、そしてちょっと拗ねたような目で遠くから観察していた。

 しかしそんな気楽な「見舞客」の中に、ちょっと微妙な存在が紛れ込むこともある。秋吉琴美だ。

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