タイトル: 『三三七拍子』
著者: 爆笑問題
価格: 880円(税込 924円)オンライン販売価格
ページ数: 153P
ファイルサイズ: 2,528 Kバイト

目 次

I 実態 ウーシア 表現
らせん
ポコとジョン… ほか
II 常識 コモンセンス 受け継がれた事
政治
不思議な声… ほか
III 情念 パッション 入る前に読め
恐怖体験
批評家… ほか
特別対談 忌野清志郎 vs 爆笑問題
中沢新一 vs 爆笑問題

 子供の頃、飼っていた犬が二匹いる。
 私は一人っ子だったので、二匹とも自分の弟のように思って仲良くしていたのだが、不思議なのは、どちらが死んだ時も私が笑ったという事だ。
 最初に飼っていたのはチンという種類で名前が“ポコ”といった。臆病で、おとなしい犬だった。幼稚園の頃に貰ってきて、小学校六年の正月に死んだ。
 その日、私は学校の宿題で凧を創っていた。障子紙に金太郎の絵を描いて、竹で創った骨組みに貼り付けてやっと完成した時、ポコがその凧におしっこをもらした。私はかなり強く叩いて、ポコを叱った。
 それから何時間かして、ポコが炬燵の中で痙攣をし出した。私は炬燵の中に顔を突っ込み、目をカッと見開いて苦しそうに痙攣をするポコを見ながら「ポコーっ! 死んじゃダメー!、ポコーっ!」と言いながら絶叫していたのだが、ポコの痙攣が段々弱々しくなり、やがて殆ど動かなくなって、ポコの心臓に手を当てていた母親が「あ、止まった…」とポツリと言った時。なんだかその言い方が面白くて、一瞬、笑ってから、再び泣き喚いた。とても笑える状況じゃない筈なのに、笑った自分に対してかなり驚いたのを覚えている。
 次に飼ったのはポメラニアンで、名前は“ジョン”といって、良く吠える元気な犬だった。中学一年の時貰ってきて、高校三年の夏に死んだ。
 その日は久しぶりにジョンを連れて散歩に行き、かなり走った。何カ月も散歩に連れていってやれなくて、かなり太ってしまっていたジョンは、急に走って心臓に負担がかかったのだろうか、途中からゼイゼイ言い出し、見ると紫色になった舌が完全に伸びきって、口から出てしまっていた。
 私は急いでジョンを抱いて家まで持ち帰り、母親が近所の人の車に乗せて貰い、病院へ連れて行った。しかし十分もしないうちにグッタリしたジョンを抱いて帰った来た母親はこう言った。「途中でウンコ漏らして死んじゃった…」。見ると、母親のズボンはジョンが漏らしたウンコで汚れていた。
 この時も私は、ケラッと笑い、笑った自分に驚いたのを覚えている。

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