心を知る占い　結城モイラのギリシア占術

まずはじめに、「心を知る占い　結城モイラのギリシア占術」の要となる言葉である、「ロゴス」についてのお話からさせてください。

　ロゴス（logos）とは、古典ギリシャ語「λογος」の音写で、「運命」「真理」を意味します。また、古代ギリシアにおいては、世界を定める理（ことわり）として定義され、偉大なる創造概念と捉えられていました。そのため、人々の間では、ロゴスに従った生き方が、賢者の人生であると提唱されたのです。

　――世界を創生するのは、相反するふたつの事象です。
　そう、たとえば、「善と悪」や「創造と破壊」などといったように。
すべては、どちらにも偏らず、つねに二面性を持って移り変わっていきます。それこそが「運命」、つまりロゴスによる決定なのです。そして、あらゆる事物を運命づけるロゴスは、「火」に象されます。燃焼しエネルギーにもなる反面、形あるものを焼失させもする炎。その二面性が、世界を良き流れにも悪しき流れにも促すロゴスのシンボルとして表されます。

　ただ、いかなる道を辿ろうとも、それが永遠に続くことはありません。ロゴスが導く未来は、つねに流動し続けていきます。
　その絶え間ない可変を、古代ギリシアの人々は「panta rhei（パンタ・レイ）」と称しました。すなわち、「万物流転」の意味。この世に生を受けるすべての命には、生涯に渡って運命が訪れ続けることを示します。

　現在、かつてギリシア人が定めたロゴスの思想は、現代哲学や論理学の分野へ大きな影響を与えています。またそれだけでなく、21世紀を生きるわたしたちの日常にも、その定理は脈々と伝えられているのです。

　いくつかの選択肢の中から、ひとつを決定するのは運命です。そしてそれは、つねに流動する世界を定める「ロゴス」でもあります。ゆえに、「この先10年、どうなっていくのか？」ではなく、「今、どうしたらいいのか？」という迷いに対して、ロゴスカードは真理を指し示してくれるのです。

　古代ギリシアの運命思想を表したロゴスカードは、26枚の象徴（logos karta）により、現状と未来を導き出します。そして、そのなかには、1枚だけ「幸運」が存在します。
　それは――「モイラカルタ　moira karta」。
　モイラとは、生あるものの命の糸をつむぎ、その長さを測り、鋏（はさみ）によって運命を決定する三人の女神です。また、あらゆる事象の未来を定め、幸福をもたらしてくれます。

　ロゴスカードは、「選ぶ」と「選ばれる」という、ふたつの選択を促すオリジナルスプレッドを使用します。その採択から導き出されるのは……いったい、どんな運命なのでしょうか？

　古代ギリシア人が天空へ関心を抱いたのは、紀元前7世紀頃までさかのぼります。かつて、人々は星を学ぶだけでなく、それぞれを神に見立てて、その叡知に思いを馳せました。たとえば、全能の神ゼウスが木星をつかさどるのは、木星が太陽系において一番大きい惑星であるから、というように。

　そして、古代天文学とバビロニアの未来予知技術が融合されたのは、紀元前3世紀頃。現代における占星術の基盤をかたち作ったのは、ギリシア期の天文学者や神官、哲学者でした。また、彼らによって、ホロスコープを12室に区切る「ハウスシステム」が初めて定められ、より細密な占断が可能となったといいます。

　ちなみに、占星術「Astrology」の原語は、古代ギリシア語の「Astrologia（アストロロギアαστρολογια）」であり、「Astron：星」と「Logos：ロゴス」から、星の科学を意味します。そうしたギリシアの才智を結集した占星術は、のちにエジプト、インド、ペルシア、中国へ渡り、各地で独自の発展を遂げ、あらゆる占術の祖となりました。そして、西暦800年代、遣唐使や高僧の手によって、初めて日本にも占星術がもたらされたといわれています。

　現代に至るまでの約2300年もの間、占星術は各国のさまざまな占術師により研究され、その精度は今もなお発展し続けています。それゆえに、現代の西洋占星術は、高い信憑性を誇っているのです。

　「心を知る占い　結城モイラのギリシア占術」では、ホロスコープのハウスに属する惑星によって結果をあらわします。10の惑星にはそれぞれ守護神が存在し、また、その守護神はサイン（星座）へも対応しています。そのため、占いたいハウスに惑星が入らない場合は、ハウスが位置するサイン（星座）によって結果をあらわします。