占術説明

ヘルメス学とは…

ヘルメスの杖
 ギリシアのオリンポス12神の1柱であるヘルメスとエジプトのトート神などが、「言葉」を司る神、冥界と現世を行き来する神ということなどから、イメージ的に合体されたヘルメス・トリスメギストスという、ヘレニズム期に考案された人物像があります。

 そのヘルメスが印したと言われるエメラルド碑が後世、エジプトのピラミッド内から発見され、そこに刻まれた文節が占星術や魔術、錬金術などいわる神秘的な自然哲学の理論の真髄を言い当てているということで、ヘルメスは錬金術、魔術の祖と崇められていったのです。ヘルメスの教えに準ずるオカルト的なことは「ヘルメス学」と呼ばれる中に含まれます。

 エメラルド碑に書かれた文節の一つに「奇蹟を成すにあたり、下のごとく上があり、上のごとく下がある」とあり、大宇宙と人間の関係、天上界と地上界の関係、霊と肉体など異なったレベルや次元でも共鳴する波動の性質や存在の多次元構造を隠喩として語られているのです。

 ヘルメス像とも関連の深い二匹のヘビの絡まる杖は、全ての存在が陰・陽といった両極で成り立つこと、バランスと中庸の重要性、4層にまたがる多次元構造世界などを象徴し、中心の棒と二匹のヘビは人体でいう脊髄と自律神経を、二体の頭は左右の脳なども象徴します。それは「知」の体系を表わします。知の働きが力を制御したり開放したり、また現世的にも霊的にもあらゆる問題を解決するのです。そして、これはタロットカードが語る哲学にもそのまま当てはまります。

 ヘルメスの杖の上部の王冠は至高なる一者と一体化することで得られる悟りの境地を、ヘビは地の生き物が天へと上りゆく様をも表わします。
 ヘルメスの言葉、杖の表わすところを構造的に詳しく説明できるのがカバラの生命の樹の図です。

生命の樹(セフィロティック・ツリー)とタロットの関係
ヘルメススプリッド  ヘルメス学の説く「下のごとく上があり、上のごとく下がある」という「万物の照応」を表わすのにふさわしく、西洋のマンダラとして密教ヨーガ的な意味合いの深いこの図です。
 カバラの生命の樹は10個のセフィラーとその間を結ぶ22本のパス(径)という合わせて32の構造により出来ています。 生命の樹は上位から下位へと降りる神の創造の過程、すなわち神からのエネルギーの流出の過程と、下位から上位へとたどる過程、例えれば、神の創造物である我々側から神側に近づいていくための道程という両面を表わしています。

 各セフィラーは元は一つの神性が属性別に分かれたもので、宇宙や生命など、神から創造される一切のものはこのセフィラーに構造上あてはめられます。空の星や人間の身体の部位などもそうです。
 またそのように目に見える世界のものだけでなく、大天使、霊的体験、霊的身体など、多次元にわたって一切のものはこのセフィラーで表現できるのです。
 22本のパス(径)は全22個のヘブライ文字や、タロットカードの大アルカナの22枚にあてはめられます。
 頂上のケテルの上部は至高なる神の世界、下位のマルクトはその神の意志が実を結ぶ場、我々の住む現実世界にも例えられます。 この現実世界であるマルクトから瞑想により生命の樹のパス(径)をたどって霊的世界に入り、その瞑想の旅の過程で各セフィラーの神的属性ひとつづつを会得しなが上へ上へとのぼっていくことが可能です。それはいわば精神の旅路。このように上へと向かう旅は、本来それぞれが自らのルーツをたどる旅に他ならないのです。

 実際の瞑想によらずとも、神の創造が実を結んだこの現実世界を観察することや、人生上に起こる様々な経験を通じてセフィラーの神的属性を理解していくことは可能です。人生自体がある意味旅であるともいえます。また実際に生きている時間を超えて永遠に魂の旅は続いていくのです。

 一方、神の創造の過程を真似てあらゆるものを創造していく能力が人間には備わっています。具体的な物を作る場合だけでなく、何か目的を達成したい時、意志を持ち、頭に思い描き、行動していきます。その過程における各段階や能力を各セフィラーに、そして段階を移行したり能力をふるう道程をセフィロトのパス(径)に例えることができます。

 その道程は穏やかである場合もありますが、たまに様々な問題にぶつかり、それにともなう悩みが発生します。そんな時、今どんな道をたどりつつあるのか、どのように通過していったらよいのか、ということを示して教えてくれるのがタロットなのです。
 また頂上のケテルへと向かう精神の旅路、いわゆる瞑想の旅においてもさまざまな迷いや恐れがたちはだかります。 霊的向上への過程においても、また現実を生きていく過程においても生命の樹の構造が指針として役立ってくれるのです。

ソロモン王の鍵
ソロモンの鍵 護符  西洋の魔術奥義書『グリモワール』の中で代表的な魔術書、「ソロモン王の大きな鍵」では七つの惑星に対応する護符が紹介されています。古代、中世の魔術・占星術的な概念では、天を移動する惑星たちは、目に見える星であると同時にそれぞれ独自な性質の霊を持つ神でありました。

 例えば金星ビーナスは「愛の女神」、火星マルスは「戦いの神」と言ったように。これらの星の動きとその影響力を考察し、地上で起こることを予測しようとしたのが占星術です。
 魔術ではこれらの惑星の力を利用するため、護符にそのエネルギーを託し、現実に働きかけようとしていました。
<土星>
 中世の宇宙への観念では、土星は太陽系の最果てにある星であったことから、占星術では物事の限界、つまり停止や破壊や死も表します。従って土星の護符は、停止、破壊、死、傷害の魔術としても力を発揮します。 生命の樹ではビナーに相当します。ビナーは“天の優れた母”とも呼ばれ、すべての物事を形として生みだし、安定化しようとする機能である為、土星の護符は長期に渡る仕事の成功、不動産や建築に関する願いなどにも力を発揮します。

<木星>
 木星は占星術では幸運をもたらす星とされ、物事の拡大、発展を促し、あらゆる恵みと保護を与えてくれます。従って木星の護符は、地上のあらゆる危険からの保護や健康の確保、富の増加や名誉の獲得における魔術として力を発揮します。 生命の樹ではケセドに相当します。ケセドは“慈悲”の意味を持つ為、木星の護符は心に安らぎや平穏をもたらすと同時に、精神的エネルギーを増幅させ、楽観的思考を促し、余裕を生む力も併せ持ちます。

<火星>
 火星は古くから血のように赤く輝く不吉な星とされ、占星術では戦争などの災いをもららす星として扱われてきました。従って火星の護符は、戦い、競争、不和、不幸を引き起こす魔術として力を発揮します。 生命の樹ではゲブラーに相当します。ゲブラーは“戦士”にも例えられ、本来、正義のために奮闘する機能を持ちます。その為、火星の護符は競技やスポーツでの勝利や、勇気を増すこと、悪霊除けなどにも効果を発揮します。

<太陽>
 太陽系において中心にあって惑星たちを従え、その光りとエネルギーで全ての存在に生気を与える太陽は、占星術でも国家においては王と見たり、個人の体においては心臓部を指します。太陽の護符は、成功、人気、健康をもたらす魔術として力を発揮します。 生命の樹でも中心位置のティファレトに相当します。ティファレトは“調停”の意味を持つ為、太陽の護符は、正しい判断を促したり、人間関係上の問題を解決する力を併せ待ちます。

<金星>
 金星は占星術では、愛と美の女神ビーナスの名で呼ばれ、金星の護符は、特に恋愛やロマンスに関しての魔術に無類の力を発揮します。その他、社交上の楽しみや、芸術に関する成功をもたらす力もあります。 生命の樹ではネツァクに相当します。ネツァクは“永遠”の意味を持ち、時間や空間の感覚を越えた領域で浮遊する夢の世界と関連がある為、金星の護符は制約やモラルにとらわれない、純粋な快楽的欲望を満たす力も併せ待ちます。

<水星>
 水星は通信と商売の神マーキュリーの名で呼ばれ、言語や科学にも関連します。占星術では知性を活かす全ての分野に関わる星とされます。水星の護符は、知識の獲得に力を発揮し、勉学やビジネスにおいて成功をもたらす効果があります。 生命の樹ではホドに相当します。ホドは“栄光”の意味を待ちます。水星の護符は、どんな状況でも光りを見出す突破口を切り開くことや、様々な問題解決のヒントを得ることにも役立ってくれます。

<月>
 月はその引力が潮の干満を支配することから、特に海や水に関連の深い星とされ、月の護符は、雨を降らせることや、航海中の安全を守ること、水難を防ぐなどの魔術に用いられました。同時に月は人の感情を支配することも知られています  生命の樹ではイエソドに相当します。イエソドは“基礎”の意味をもち、現実をスクリーンとするフィルムに例えた潜在的、霊的な領域の為、月の護符は霊的な問題の解決や霊能力の確保にも力を発揮します。
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