――思春期に達すると、頭の中にある下垂体から排卵を起こすホルモンが十分に出るようになります。また、排卵するようになった卵巣からは、2種類のホルモンが分泌され、子宮内膜を受精卵の着床に適した状態にします。もし、受精と着床が起こらなければ、内膜は剥脱し、月経となって流れ出ることになります。したがって、月経が停止するということは、妊娠した場合か、妊娠でなければ卵巣(子宮)―下垂体―視床下部のいずれかに欠陥や不調和があるためと考えられます。
視床下部は、さらに上位にある間脳や大脳の影響を受けているので、精神感情の不安定な変化によっても、月経が止まってしまうことがあります。
初経から間もなく、月経が不安定な若い女性では、入学・転校・引っ越しその他の環境の変化によっても、それまで順調にあった月経が不順になったり、止まったりしてしまうことがあります。
高校に入学されてから月経が止まってしまったとのことですから、環境の変化がきっかけになっているようです。また、注射(おそらく黄体ホルモンでしょう)で月経がみられるとのことですから、比較的軽症な第1度の続発性無月経と診断できるでしょう。
2、3回、ホルモン剤の注射や内服で月経をつくると、自然にもとに戻って月経が再開することもありますが、1年間も無月経というのでは子宮が萎縮してくることもあります。もう一度、積極的に治療を再開することが、必要だと思います。
クロミッドやセキソビッドという排卵誘発剤がありますので、ホルモン剤で月経を起こしてから、この薬剤で排卵誘発を試みてはいかがでしょう。
県大会に出場されるほどですから、部活動や練習もかなり活発なのでしょう。生活環境を変えてみることも試みてみるべき治療法のひとつですので、部活動を一時休んでみたほうがよいかもしれません。過度の運動は無月経を引き起こすことが知られています。
クロミッド療法や生活様式の改善でも治らなければ、さらに強力な効果のあるHMG-hCG療法も残されています(286頁参照)。