東京カンテイ|マンションストック“500万戸時代”〜老朽化マンションと新耐震基準マンションの急増がもたらすもの〜

1.築50年に達した首都圏のマンションストック

1.古いマンションほど東京に集中

2004年12月31日時点で、首都圏において最も古いマンションが築50年を迎えました。東京都渋谷区にある、東京都が売主の「宮益坂ビルディング」です。マンション供給はこの「宮益坂ビルディング」以降、東京都を中心に進んでいくことになります。そのため、築年の古いマンションは東京都に集中しています。

築40年(1964年以前に竣工)を超えるマンションの、三大都市圏における地域別シェアを見ると、東京都に66.3%が集中しています。全マンションストックの東京都のシェアは30.2%であることを考えると、黎明期のマンションはほぼ東京都に供給されていたことがわかります。次いで神奈川県のシェアが17.2%と高く、千葉県(4.9%)、兵庫県(3.6%)の順であるが、シェアには大きな開きがあります。ちなみに築40年を超えるマンションは大阪府よりも愛知県の方が多くなっています。

マンションは東京オリンピック(1964年)を機に多く供給されるようになり、東京都以外の地域にも供給の広がりを見せるようになります。70年代からは、ほぼ三大都市圏全体にマンションが竣工するようになります。築30年(1974年以前に竣工)を超えるマンションのシェアは、東京都が36.4%と築40年超のシェア(66.3%)と比べると半分程度に低下します。これは神奈川県や大阪府、千葉県、兵庫県で供給が進んだことによるものです。この頃のマンションは、公団や公社の供給する団地型のマンションが多くなっています。郊外のニュータウンに多くの団地が造成・建設された時代です。80年代に入ると民間のディベロッパーの供給が多くなり、地価高騰の影響を受けて地方へスプロールが起こり、郊外での竣工戸数が急増していきます。

2.築30年超のマンションは3年間で倍増

次に築年別の総ストック数に対するシェアを地域ごとに見ていきましょう。まず驚くのは、2001年末時点と2004年末時点の築30年超の物件数比較において三大都市圏では築30年超のマンションストック戸数が2.26倍にも膨れ上がっていることです。

首都圏では2.02倍、近畿圏は2.92倍に、中部圏は3.45倍になっています。わずか3年間で2〜3倍にも膨れあがったのは、70年代前半に分譲された、いわゆる第三次マンションブームの物件が相次いで築30年を超えたためです。

今後も築30年を超えるマンションストック数は急激な勢いで増加していき、三大都市圏の合計では来年2006年には50万戸を超え、6年後の2011年には100万戸を超えます。1970年代に建築された公団型のマンションは、現在のマンションとは違い、耐震強度の点からも劣るものと考えられ、またマンションそのものの寿命も現在のそれよりも確実に短くなっています。築30年を超えれば全てのマンションが“建て替え適齢”になるわけではありませんが、マンションの建て替えが築30〜40年前後で行われている現在の状況を鑑みれば、すでに三大都市圏で50万戸近いマンションが“建て替え適齢”を迎えつつあると考えても良いでしょう。

築30年超のマンションストック数の増加予測(2004年12月31日時点)
  築30年のマンション
が登場した年
現在(2005年) 25万戸突破 50万戸突破 100万戸突破
三大都市圏 19年前(1985年)
134戸
488,162戸 2年前(2003年)
278,723戸
1年後(2006年)
568,140戸
6年後(2011年)
1,065,079戸
 首都圏 19年前(1985年)
134戸
328,732戸 1年前(2004年)
260,051戸
4年後(2009年)
531,807戸
10年後(2015年)
1,033,800戸
  東京都 19年前(1985年)
134戸
177,587戸 4年後(2009年)
281,133戸
10年後(2015年)
540,824戸
26年後(2031年)
1,026,821戸
  神奈川県 18年前(1986年)
27戸
78,049戸 11年後(2016年)
256,415戸
23年後(2028年)
525,194戸
-
 近畿圏 17年前(1987年)
200戸
128,033戸 6年後(2011年)
260,576戸

13年後(2019年)

517,509戸

28年後(2033年)
1,010,764戸
 中部圏 12年前(1993年)
46戸
31,397戸 22年後(2027年)
256,389戸
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2.新耐震基準マンションストック増加の状況

1.新耐震基準マンションストックでみる防災性能の高い都市・低い都市

1981年に建築基準法が改正され、現行の耐震基準(概ね震度6程度の地震に耐えられる耐震強度を備える)となってすでに24年が経過しました。建築確認申請から竣工までの期間がおよそ15か月であることを考えると、1983年以降に竣工したマンションはほぼ新耐震基準をクリアした強度の高いマンションであると考えられます。

三大都市圏の全マンションストック4,139,920戸のうち、1983年以降に竣工し、新耐震基準をクリアしたマンションは2,807,552戸で、全体の67.8%に当たります。実に3分の2のストックが新耐震基準マンションです。新耐震基準のマンションストック戸数は、バブル期以降のマンション大量供給時代到来とともに急速に増加し、1995年には旧耐震マンションのストック戸数を上回っています。

築年の古いマンションが最も多い東京都でも、1998年に新耐震基準のマンション戸数が旧耐震基準のマンション戸数を上回っています。このようにマンションの耐震基準別のストック戸数は、1990年代に新旧が入れ代わり、「新しいもの」が「古いもの」の戸数を上回っています。マンションストック全体の耐震性が向上していた時期と言うことができます。ただし、旧耐震基準のマンションストックも三大都市圏合計で130万戸を超えており、至急対策を講ずる必要があります。

2.新耐震基準マンションストックでみる防災性能の高い都市・低い都市

(1)新耐震基準と旧耐震基準のマンションストック比率

●首都圏(高い地域20都市、低い地域20都市)
首都圏では新耐震基準マンションストックが多い都市は郊外に多くなっています。東京都では区部には一つもなく、全て都下の都市となっています。神奈川県では大和市、座間市、海老名市という郊外の都市が多くなっています。埼玉県では、さいたま市の各区が軒並み新耐震基準マンションストックの比率が高くなっています。一方、新耐震基準マンションストックの比率が低い都市は、東京都の都心部と千葉県の西部に集中していることがわかります。この要因は東京都心部には当然ながら古いマンションが多いこと、千葉県西部は比較的古い工業団地が多く存在していて、全体に旧耐震基準のマンション比率が高くなっているためです。神奈川県逗子市は築年の古いリゾートマンションが多く、そのため旧耐震基準マンションストックの比率が高くなっています。

●近畿圏(高い地域18都市、低い地域19都市)
近畿圏の状況も首都圏と同様です。新耐震基準マンションストックの多い都市は郊外で、主としてバブル期にマンション立地のスプロールによって、数多く供給された地域が含まれています。大阪府では富田林市や和泉市、兵庫県では三田市や神戸市西区などです。また近年マンション供給が盛んになった京都市の中心部(中京区、下京区、上京区)、滋賀県の大津市、草津市や、奈良県生駒市などが高くなっています。反対に、古くからマンションが多く建設された大阪府の北摂地域(豊中市、吹田市、茨木市、高槻市、箕面市など)や大阪市の中心部は新耐震基準のマンションストック比率が低くなっています。これらの地域では千里ニュータウンなどで、いくつかの建て替え事例が発生しています。

●中部圏(高い地域6都市、低い地域7都市)
中部圏の状況も首都圏・近畿圏と同様に、郊外に新耐震基準マンションの比率が高い都市が、名古屋市中心部には低い都市が集中しています。名古屋市の中心部は、中部圏において最も早い時期からマンション供給が進んだ地域であり、このことから旧耐震基準のマンションが多くなっています。郊外の愛知県豊田市、安城市、小牧市、岐阜県岐阜市、三重県四日市市は近年マンション供給が盛んになったエリアです。なお、地図上には表されていないが中部圏で最も新耐震基準のマンションストックの比率が低い都市は熱海市です。熱海市はリゾートマンションが早くから供給されており、古いマンションが多い。同様に伊東市も新耐震基準のマンションストック比率が低くなっています。

(2)総世帯数に占める新耐震マンションストックの高い都市・低い都市

●首都圏(高い地域20都市、低い地域20都市)
首都圏では郊外の比率が低く、東京都区部や横浜市などの中心部の比率が高くなっています。特に東京都心部は、全世帯数に占めるマンション世帯の比率が高く、中央区では全世帯のうち実に89.7%が、港区では81.5%が、千代田区では79.2%がマンション世帯です。このような地域では、マンション以外の木造家屋などの数は少なく、旧耐震基準マンションの数は多いものの、新耐震基準マンションの数も相対的に多くなるのです。反対に郊外の都市では、まだ戸建て中心の居住スタイルを維持しています。例を挙げるなら、市原市のマンション化率はわずか5.2%にすぎません。そんな中で白井市や千葉市美浜区など、マンションを中心に開発が進んだ新興都市では、世帯数に占める新耐震基準マンションストック比率が高くなっています。

●近畿圏(高い地域19都市、低い地域18都市)
近畿圏も首都圏と全く同様です。近畿圏の三つの核とも言うべき大阪市中心部、神戸市、京都市はいずれも古くからマンションストックが多い地域ですが、それゆえ、総世帯に占める新耐震マンションストックの比率も高くなっています。大阪市中央区は近畿圏の中で最もマンション化率が高く67.9%に達しています。反対に大阪市東部や北摂、京都市の東部・南部などでは戸建ての多い地域で、マンションの比率は低くなっています。和歌山県和歌山市(地図には記載がない)は近畿圏の中でマンション化率が最も低く、4.1%となっています。大阪市内でも東住吉区は8.2%、平野区9.4%、住吉区が10.7%と低い。近畿圏ではまだ戸建て中心の都市を数多く残しています。

●中部圏(高い地域9都市、低い地域4都市)
中部圏では名古屋市において新耐震基準マンションストックの比率が高くなっています。地図には表されていないが、中部圏で最も新耐震基準のマンションの割合が高い都市は熱海市です。全世帯数のうち30.6%が新耐震基準マンションストックとなっています。熱海市は首都圏のリゾート地であり、比較的古くからマンション化が進んでいました。また熱海市では、マンション化率も高く、全世帯のうち61.2%が分譲マンションとなっています。このため東海地震が懸念されている地域ではありますが、耐火・耐震性能は高いと考えられる。反対に最も新耐震基準マンションストックの割合が低い都市は、愛知県豊橋市で3.4%、岐阜県岐阜市も3.4%と低くなっています。中部圏の郊外ではまだほとんどの住宅が戸建て住宅です。

3.東京都へのマンションストック「再集中」

マンションは1990年代に入り大量供給時代を迎え、防災性能の高いマンションストックを確実に積み重ねながら、都心回帰の結果として、都心部の新耐震基準マンションストックを増加させました。特に東京都への供給集中は顕著で、1990年以降の三大都市圏における新築マンション戸数のシェアを見ると、1990年には16.7%であったシェアは1999年には30%を超え、2004年には41.2%に達しています。2000年以降はほぼ横ばいで推移している大阪府と愛知県とは対照的です。

三大都市圏における東京都・大阪府・愛知県の新築マンション戸数シェアの推移

この結果、三大都市圏における東京都のマンションストックシェアは、1993年を最後に30%を割り込んで年々減少していましたが、2000年から反転上昇し、2004年には30.2%と11年ぶりに30%台に乗せています。このような顕著な伸びを見せている都府県は東京都以外にはなく、東京都はマンションストックにおいても集中傾向が顕著な状況にあると言えます。千葉県、埼玉県はシェアが低下しており、マンションストックの伸びがやや鈍化しています。



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