第四のアルカナ『女帝』

さて、ようやく4枚目に突入。
今回のアルカナは「The Empress」の称号が与えられております「女帝」。

前回、「女教皇」のカードのモチーフとなったというお話を致しました 「女神イシス」が、この「女帝」にも描かれているものと思われます。
ウェイト版以前のカードでは、実際に「女帝」の絵柄にイシスのシンボルである 月が描かれているデッキも多々ございます。

足元に注目

「女教皇」のカードに象徴されているエジプトの女神イシスは、 ローマにて女神「ヴィーナス」、ギリシアでは「アフロディテ」、 みなさまも耳にしたことのある神名と存じますが、 姿形を変えて、人々により崇め奉られて参りました。 共に「愛と美」を司る女性神、原型的女性の姿とされております。

★「2人の女神」または「女性の2則面」がここでのテーマ

ウェイト版の「女教皇」は、花嫁のようなヴェールをかぶっていることも さることながら、彼女の背後に柘榴(ざくろ)が描かれた垂れ幕が見えますね。
(アルカナ論「女教皇」を参照のこと)

神殿に奉られ、覆いを掛けられ―そのヴェールの向こう側、
天界に存在する聖なる存在、
人々の前に姿を現すことのない女神「天上のイシス」が描かれております。

それに対して、人々のための女神「民衆のイシス」として描かれているのが、 当時その神殿で売春を行っていた女性の姿なのです。
神殿売春については、『神秘のカバラー』(ダイアン・フォーチュン著/大沼忠弘訳) から下記にわかりやすくまとめてみました。

『ギリシア的な生の概念によれば「愛」は異性間の関係以外に、 極めて多くのものを包含していた。 それは、戦士の友情や師弟愛をも含んでいた。

ギリシアの娼婦、もしくは愛をその職業とする女性は、 現代の娼婦とは異なっていた。

ヴィーナス(アフロディーテ)は愛の高次の局面を主宰する女神である。 ・・・ギリシアの娼婦は教養のある女性であったと考えられる。 どんな男性もみだらに言い寄れないような清純な肉体的美徳を備えた女性もいたのである。 娼婦の務めは顧客の性欲だけでなく、その知性にも奉仕することだった。 彼女のもとへ哲学者や詩人が霊感を得るために、また機知を磨くためにしげしげと 通った。』

智恵の女神「女教皇」、彼女がヴェールを脱いだ姿が「女帝」なのです。

★「ヴェール」と「ヴェールを掛ける」ことについて

タロットカードといえば、その代名詞のような「ウェイト版」ですが、 その創作者、アーサー・エドワード・ウェイトは「The Pictrial Key to the Tarot」という タロットカードの奥義を記した書籍を1910年出版し、センセーションを巻き起こしました。

その中にて第三章は、
「The Docrtine Behind the Veil:ヴェールに包まれた秘義」
とのタイトルが付けられて、大アルカナ22枚の教義が明かされている項となっております。

先に訳書の文書を引用をさせて頂きました
「神秘のカバラー:The Mystical Qabalah」の著者は、
ウェイトのかつての同朋、イギリスの魔術結社「ゴールデン・ドーン」なる団体にて切磋琢磨しておりました女性オカルティスト、ダイアン・フォーチュンでございますが、
その下記のような文書も記されてございます。

『カバリスト(ユダヤ神秘思想カバラの探求家)は探求成果の顕現のある一点でヴェールをかける。知能そのものがそこで踏みとどまらねばならないという理由からである。
・・闇の中を突進するより、その行く手に「ヴェール」をかける方がずっと深く突き進むことになる。』

ヴェールとは、何かを「覆い隠す」ものです。
宇宙の神秘、本質を知るための、私たちには「哲学的なヴェール」が必要。
結婚式に、花嫁が被るのもヴェールですが。。象徴的ですね。

前項では「女神崇拝」について触れましたが、
女性という存在、女性原理が古来よりどう尊ばれてきたか、
タロットカードに流れる思想、宗教色がだんだん見えてまいります。

上記「神秘のカバラ」によれば、
ギリシアには「月の女神ダイアナ」がおりますが、
処女であり女狩人でもある彼女が、エペソスという地域では
たくさんの乳房を持った女神として崇拝されていたり、
「美と愛の女神ヴィーナス」が、ある神殿では「髭をはやしたヴィーナス」として崇拝されているとか。
次項のアルカナは、「髭の生えた皇帝」です。

アルカナ第四のアルカナ
タイトル「女帝」
英語The Empress
フランス語L'Imperatrice
カードの象意受動性、愛と性、快楽、実りと豊穣、生産性
育む精神、安定性
キーワード 繁栄、出世、成功
安楽・快楽
豊かさ
成長
生産性・結実
結婚、妊娠、出産
受けみの行為
安定した状態
不仲、不実な行為
実らないこと
家庭の不和
無駄な労力、浪費
良い結果をもたらさない繁栄
虚栄(心)
多情
過剰生産