第九のアルカナ『力』

さて、今回のアルカナ論は、
偉大なるアーサー・ウェイト博士作「ウェイト版」において、
その配列変換でお馴染みの「力」。

22枚の大アルカナに56枚の小アルカナを合わせた78枚のタロットですが、 この78枚でワンセットという形、配列順序等は時の流れと共に整然とされてきたものなのです。 初期のタロットと言えば、その種類によりそれぞれ枚数や配列順序に違いがあります。

1400年代よりお目見えの古典的なデッキにおいて、
「力」は通常11番目に配当されております。

対してウェイト版では、古典版の8番目に位置していた「正義」を11番目に配当し、 11番目の「力」を、8番目に移動させたのです。
生命の樹の1〜22のパスと大アルカナを結びつけての解説をしたウェイト博士。 樹の中で、ケセドとゲブラーを結ぶパスに、もともとの8番「正義」は相応しないのです。 「11番の「力」と入れ替えてしまおう!」と言うのが博士の発案でした。


マルセイユ版「正義」


ウェイト版「力」

振り当てられているローマ数字に注目して下さい。

様々な異論を巻き起こしているようですが、 ウェイト版を良しとしない人の理由の多くはここにある模様。 生命の樹とタロットカードとを結びつけることに 拒絶反応を示す人も多い昨今ですから。
しかし、配列順序もタイトルも整然としていなかったもともとのタロットデッキに、 生命の樹を持ち出して整合性を与えて、ウェイト版というデッキを創作した、 というのが博士の試みであり、そのデッキは今に至るまで全世界で 驚異的に支持されているのです。博士の功績は素晴らしい!

現在市場に出回っているタロットを見て頂ければ分かるでしょう。
このようなカードの交換や新種のカードを加えることは、 当然のごとく行われているのですから、あとは、それらの事実をどう踏まえてタロットを扱うか、 ひとりひとりの問題です。

古典的な配列を変換することそれ自体に、 お叱りが出ますれば、それはまたいたしかたございませんが。

しかし、この変換はOK、この変換はNO!という主観で、 偉大なるウェイト博士の功績に難癖をつけてはいけません。
偉大なる魔術師クロウリー作「トート」などでは、 「皇帝」と「星」が変換されておりますが、 その理由と言えば「ツアダイ(英語読みで「TS」に当たるヘブライ文字)は星にあらず」とのひとことでして、 これもまた何ともはや。。。

さて、いずれにしましても、「獅子」が描かれているのが典型的です。

英語のタイトルを見回して見ますと、 Strengthe、Power、Fortitude。。。微妙に象徴していることに 違いがあるようですから、このニュアンスぜひ、英語辞典で調べてみて下さいね。

絵柄に関しては、鎧を着た若者が獅子を棒で打ち負かしている光景、 旧約聖書の英雄サムソンが獅子と格闘する光景など、 ギリシア神話の獅子を倒したヘラクレスなど男性が格闘するシーンがモチーフとなっておりますものが 多いようですが、


上記のように、剛力な女性とライオンの姿が描かれている初期の木版画に倣ったものが主流のようです。

マルセイユ版では、女性の帽子の形が特徴的です。


マルセイユ版「力」

数字の8の形をしており、エジプトにおける不老不死を表すシンボルを象ったものとも解釈できます。

ウェイト版では、さらなる改良を重ねて、 「無限大の記号:インフィニティ」の印が女性の頭部に登場するに至ります。

そう、「力」とは、並ならぬ精神力、 人間を超越した高次のエネルギーを指していることがわかりますね。

腕力や権力としての「力」ではなく、力強い内なるエネルギーについて、 物語っているカードなのです。

それは、逆境に遭遇した時に、図り知ることができるもの。
即ち、待つこと、忍耐すること、信念を示します。

本当の強さとは、打ち壊すことではなく、 物事を「変容させる力」であると、言われます。

真の勝利とは?
敵を打ち壊して破壊することではなく、 敵を黙らせること、制すること、配下に置いてしまうこと!そこで勝敗がつくのです。

タロットの絵柄において「精神力」とは、 自己の中に巣くう獣性をなだめすかして、てなずけるという光景で描かれています。

本当の「力」とは、破壊したり圧することではなく、「手なずけ調和させる」こと。

領主とか社長とかマフィアのドンとか、度量のある人が、荒くれ者を上手に自分の片 腕にしてしまうようなことが彷彿としますね。影の実力者、黒幕のカードでもあります。


★忍耐に示される「美徳」

忍耐に示される精神力を「美徳」という象徴絵図にして表しているという観点では、 ここに描かれているライオンは、人間の精神の一部、無意識や本能を表すもの、 まさに獣性と言えましょう。本能の中の本能の部分、生きるための欲求や暴力性、 人間の社会生活においてはどのように抑制していくべきなのかが問われる影の側面を 象徴しています。

純真無垢な精神性がそれを果たすことも暗示されていますが、潔であろうとすればするほど、 人は自己の獣性に打ちのめされるでしょう。

女性がまとう白い衣装は、完全なる受動性、あらゆる神の意志を受け入れることを示すもの。 ベルトのように連ねた花が、ライオンと女性とをしっかりと結びつけている様は、 既に女性がどう猛なライオンに勝利していることの表れです。

しかしながら、欲望や本能を飼い慣らすことは、切っても切れない人の永遠のテーマなのです。

怒りや不満、それは時に感じて当然のことだとしても、強いてその負の感情を抑えること。 動いて、周囲や相手を変えようとするのではなく、自分がその状況を受けて立つことありき、 カードはそう物語っています。

じっくり腰を据えて物事に取り組んだり、焦らず事態を容認し見守ること、 肉体と精神とのバランスを取ること、などとも表現されるでしょう。
さあ、何であれ、あなたはその問題、受けて立つことができるでしょうか?

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アルカナ第九のアルカナ
タイトル「力」
英語Strengthe,Power,Fortitude
フランス語La Force
イタリア語La Fuerza
カードの象意精神力、忍耐、自己抑制、受動すること
獣性、我欲を抑制する
キーワード 勝ち取る
克服する
時間を掛けて達成する
勇気がある
意志の力・不屈の精神
一途・強い想い
根気
持続する事柄
長期戦
結束力、力を合わせる
和解する
大胆・堂々とした振る舞い

自信がない・弱気、弱い意志
欲望に負ける
甘え・依存
長続きしない
中断・失敗
我が強い・わがまま
力・権力に物を言わせる