北欧神話の世界〜エッセイ
鏡リュウジのルーン・オラクル トップへ戻る

古代の神聖文字「ルーン」発祥の地といわれている北欧。
北欧には「ルーン」にまつわるさまざまな神話や伝説が残されています。

ここでは、そんな神秘的な北欧神話の世界を、
鏡先生書き下ろしのエッセイでご紹介します。

第44回 ルーン文字がもたらす洞察

ルーンのもつ意味を考え直すと、
現代の生き方についていろいろな洞察を得ることもできます。
たとえば、ルーン文字の最初の「フェオ」。
この文字は英語のfee(料金)ともつながりがあることでもわかるように、
金銭や富をも表わしています。
けれど、もともとの意味は「家畜」だったのです。
つまり、増やすことのできる、生きている財ということですね。
現在のお金は、投資によって増やすことも可能です。
けれど、昨今の金融破たんをみるとわかるように、高度に抽象化され
数字の情報になってしまった貨幣には、かつての家畜のような
実用的な価値はそれ自体にはありません。
具体的なものの代わりにまず、硬貨や紙幣へと姿を変えた財は、
現代に入ってコンピュータのなかの数字へとついに姿を変え、
そして無限の増殖を繰り返したあげくにまた破たんする、
という構造をとるようになりました。
その経済の力は現代人に大きな便利さを与えた一方で、
何かを奪って、新しいリスクを与えてもいるのかもしれません。
フェオの文字を見るときには、自分自身にとって、お金や時間、自分が大事にしているもの、
大切にはぐくんでいきたいものの価値、かけがえのなさはどこにあるのか、
そんなことをもう一度考え直してみるべきだと僕は思います。



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