官能小説販売サイト 東条ゆかり 『SMレズ調教』
おとなの本屋・さん


東条ゆかり   SMレズ調教

目 次
第一話 SMレズ調教
第二話 バラの復讐
第三話 ザ・レイプ

(C)Yukari Tojyo

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   第一話 SMレズ調教

  女サラ金経営者

「女性による女性のための個人ローン、遂に誕生!」……そんな見出しの広告をふと目にしたのは、今から三年ほど前、通勤電車の中で読んでいた女性週刊誌の広告のページの片隅でした。その小さな広告が、私の内に眠っていたレズとSMの性癖を目覚めさせ、遂には私の運命までも決定付けることになろうとは、夢にも思っていませんでした……。
 その当時、私はある小さな銀行に勤めていましたが、すでに二十四歳。華やかな窓口業務の中では一番の古参組でした。自分でこう言うのもおこがましいのですが、私はどちらかと言えば美人の方で、男性から誘われることも多かったのです。しかし、どうした訳か、ほかの女性から見たらどれほど素敵な男の人でも、乗り気になれなかったのでした。
 そんな訳で、同僚や後輩達が結婚を理由に次々と銀行を辞めていく中で、いつしか私は、いわゆる売れ残りの筆頭になっていたのでした。幾ら私がかなりの器量好しでお客さんの扱いの上手なベテランとはいえ、第一線の窓口業務からはずされる日の近いことが気になっていた私は、転職の道を探していたのでした。
 窓口からはずされることとは、私達女性行員にとって大いにプライドを傷つけられることなのです。それよりは自主退職して、いわば名誉ある撤退を……と考えたのです。
 ただ、それまでの経験を生かせる金融関係に勤めたいという希望は捨て難く、いろいろ物色していましたが、銀行は年齢的に駄目というので、なかなか思うような口がなく、半ば諦めていたのでした。その時たまたま見つけたその広告は、求人広告のページにあるのではなかったのですが、プロ意識とでもいうのでしょうか、金融関係の記事や広告は、探すつもりなどなくても、いつも向こうから、目に飛び込んで来るのです。その広告の見出しの下の細かい活字は、こう読めました。
「OL、主婦の方 お気軽にどうぞ。当ローンは、女性経営者によって女性専門に融資申し上げるものですので、女性の方ならどなたでも安心してご利用頂けます。万一返済のご都合がつかない場合でも、ご家庭や会社等に強制的に集金に参ることは決してございません。あくまでお客様の親身になって、できる限りのご相談に応じます」
 こんな親切なやり方でよく経営が成り立つものだわ、とサラ金の悪どさの話をいろいろ聞かされていた私は、感心したり呆れたりしながら、その広告の下の方の、さらに小さな活字の一行に視線を落としました。
「女子事務員一名急募。委細面談の上」
 給与も条件も明記されていないので、多少の不安もあり、銀行からサラ金へと何だか落ちぶれるような感じで、余り乗り気ではなかったのですが、女性相手の職場というのが私の気質に合っているうえ、それまでのキャリアが生かせそうでしたので物は試しと、一応電話を入れました。まだ口が埋まっていないことを確認してから、広告の隅の略図を頼りに、早速、その日の勤めが終った足で、事務所に出掛けました。
 サラ金というと何か薄暗いイメージを持っていたのですが、そこは郊外のバイパス沿いの小綺麗なビルの一階の奥にある、小さいけれども明るい事務所でした。
「ああ、今朝電話のあった北村涼子さんね。お待ちしてましたわ」
 と言いながら、私を傍らのソファに座らせてくれたのは、四十代くらいの痩せ型で背の高い、どこか冷やっとする感じの女性でした。
「私がここの経営者の蔵谷貴子。どうぞよろしくね」
 持参した履歴書にざっと目を通すと、蔵谷さんは、面接ということで多少固くなっている私に転職理由とか、それまでの仕事の内容とかについての一般的な質問の後で、ちょっと意外な質問をし始めたのです。
「北村さん、あなた、まだ独身のようだけど、近々結婚なさるとか、そういうご予定はないのかしら……」
「相手がおりませんので……」
 私はこんな時よく使う逃げ口上で、その場を切り抜けようとしました。
「まあ、嘘おっしゃい! あなたのようにお綺麗な方、男性の方で放っておく訳ないじゃないの」
「あのう、私、男の人、好きじゃないんです」
 私は正直なところを答えました。
「それ、どういうことかしら……?」
 そう問いかける蔵谷さんの目に、探るような鋭い光があったことは、後になって冷静にその場を思い出して初めて気がついたことで、その時は全く意識しませんでした。それは、その時、蔵谷さんが掛けていた室内用サングラスの薄茶色のためだったかもしれません。その時、もう少し注意深く観察する冷静な目が私にあったなら……と今から思えば悔やまれるのですが。もっとも、もしその時、物怖じしてしまっていたなら、過去二年間の異様な体験はもちろん、二億円という遺産の約束も手にすることはできなかった訳です。
「初対面でこんな立ち入ったことお尋ねしたりして、ご免なさい」
 目を細めて言い訳する蔵谷さんに、
「いえ、いいんです。私、男の人と一緒にいるより、女同志の間でお喋りしたりとか、お茶を飲んだりとか……そういう方が好きなんです」
 と、銀行の同僚の女友達の顔など思い浮かべながら答えました。
「あら、そうなの……ここでは、まさにうってつけね。あなたがご覧になった広告にもはっきり書いてあったはずだけど、うちのお客さんは女性ばかりなの。決まったわ。早速、明日からうちで働いて頂きたいわ。ただし、あなたも銀行で長い経験がおありのようだから、改めて注意するのも蛇足かもしれないけど、うちのような金融は銀行以上に秘密を厳守してもらわなければ困るわ。その点、いいわね」
 幾ら何でも翌日からという訳にはいかないので、その一カ月後、銀行の方で退職願いが受理されてから、私はそこに勤め始めたのです。お給料が信じられないほど高額だったのがまず魅力でした。定額三十万のほかに、特別手当として随時、お客さんのローンの額に応じて一定の歩合給のようなものを付けてくれるというのです。
 ただし、それは私の「適性を調べた後で」ということで、就職後、六カ月間は棚上げでした。
 もう一つ、ちょっと変わっているなと思ったのは、仕事上、万一重大なミスを犯した場合、または私の方から一方的に退職を願い出た場合には、それまでに支給されたお給料の五十%はローンとして貸し出したものと計算し、利息を付けて返済しなければならないというのです。銀行でのキャリアがあって、ミスをしない点には自信があった私ですので、それほど気には留めませんでした。
 退職願いについての一条は、多少変だとは思いながらも、蔵谷さんに相談して十分話せば、私の希望通りになるものと軽く考えていたのです。それに、せっかく私の希望にかなった口が見つかったのに、そう簡単に辞められないという気持も働いていました。この何気ない取り決めが、どれほど恐ろしい拘束力を持つことになるかは、そこに勤め出してちょうど半年たったある日、身をもって思い知らされたのです。

  SMレズ適正検査

「半年間、どうもご苦労様。今晩閉店後、大事な話があるから、私とつきあって下さらない?」
 蔵谷さんから、こう言われながら、夏のボーナスを手渡されたのは、七月初旬の、蒸し暑くてやり切れないような日の、お昼頃でした。
 一人暮しのマンションへの帰宅を待ち切れずに、そのぶ厚い感じのボーナス袋を蔵谷さんの目を盗むようにして覗いた私は、ほんとうにびっくりしました。何と八十万円も入っていたからです。
 驚いた私は、何かの間違いではないかと蔵谷さんがいつも執務している隣室に駈け込みました。
「いいえ、間違いなんかじゃないわ。そのボーナスの四分の一は、あなたの今までの仕事ぶりに対しての御礼、残りの四分の三は、今後のあなたに期待する意味での報奨金の前払いと思ってもらえばいいのよ。そのことについても、もう少し詳しくお話ししたいのよ。いいわね、今晩」
 普段ですと、勤め帰りのOLも来店できるようにと七時過ぎまで開けておくのを、その日は早々と五時にはシャッターを下ろしてしまいました。
「今日は、あなたにとても面白いものを見せて上げるわ……」
 意味ありげにそう言いながら、蔵谷さんはいつも執務している事務机の一番上の引き出しに入っていた電卓のようなもののボタンを押しました。ジーという音がして、その部屋の奥の壁の一部が、エレベーターのドアのように開きました。ポカンとしている私を促すように、
「さあ、どうぞ」
 と、蔵谷さんは先に入って行きます。私の背後でドアがピタリと閉まりました。何か世の中から遮断されてしまった感じです。
 そのドアの所から真っ直ぐ下に伸びている、狭くて急な非常階段のような階段を下りていきます。階段を照らす小さな電球の光の薄暗闇の、しんと静まりかえった静寂の中で、鉄製の階段に二人のハイヒールの音だけが鋭く響きます。十数段を下りて、壁のスイッチを押すと、明るい照明が私達を包みます。そこはまるでホテルの部屋のように大きなダブル・ベッドが置かれ、ユニット・タイプのバス・トイレも付いています。部屋の広さはちょうど蔵谷さんの部屋ぐらいです。
「どう、驚いた? この部屋、私の部屋の真下の地下室なの。そしてあのアコーデオン・カーテンの向こうが、いつもあなたが仕事をしている部屋の真下という訳。あっちの部屋がどんなになっているかは、将来のお楽しみよ」
 半年間、毎日仕事をしてきた事務所の地下に、まさかこんな部屋があるとは夢にも思いませんでした。
「あなた、気がついていたかどうかは知れないけれど、このビル全体が実は私のものなの。このビル、蔵谷ビルって名前がついているでしょ?」
 確かにこのビルはそう命名されていましたが、サラリー・ローンの蔵谷さんとは偶然の一致とばかり思っていました。
「私が特別注文でこの地下室を作らせたの。この所在を知っているのは、私と設計士と工事人夫だけ。工事関係者には、夜勤用の仮宿泊室ということにしておいたわ。でも、ほんとうの用途は、私と……それに、涼子さん、あなただけしか知らないことになるのよ。この秘密、守れるわね」
 表面はあくまで優しいけれど、うむを言わさないといった感じの言葉に、私は声もなくうなずくだけでした。
「実はね、私、Sのレズビアンなの。今まで何人かの女を相手にレズったり、SMプレイを楽しんできたわ。でも、ほんとのレズビアンを探し出すのって、世間で考えているほど簡単ではないわ。『この女となら長続きしそうだ……』と期待しても、いつの間にかどこかに男を作って、私のもとを去って行ってしまうのよ。
 SMプレイにしても同じ。所詮、プレイはプレイ、ただのお遊びに過ぎないの。どんなに凝った責めを考えても、『これは、真実の責めじゃない、SMごっこなんだわ……』という考えが、ふと頭をかすめると、もう駄目。しらけちゃうのよ。そこで五年前から、私、考えに考え抜いて、この女性専門のサラ金という手を思いついたの。あなたも気がついているでしょうけど、うちの利子は、他と比べてとても安いでしょ? 利子による収益なんて、そもそも考えてないのよ。
 私がある地方病院の経営者の養子だってこと、いつか、あなたにもお話ししたこと、あったわね。いつになっても子供ができないというので、男の子一人女の子一人を養子に取ったんだけど、目的は後継者の男の方で、女の私はただのペットみたいな存在。
 幼い頃こそ、『タカちゃん、タカちゃん』って可愛がってくれたけど、私が東京の医大に入学して養父母のもとを離れたのを機会に、親子との縁とは名ばかりになってしまったわ。そんなところへ養父母が心臓発作で急死。兄が遺産を独り占めしようとしたから、私、裁判に持ち込んで、遺産の請求をしたのよ。そうして手にした五億の金を元手に、不動産などをやってうまくいってるの。
 医大の方は一応卒業はしたけれど、神経ばかりすり減らす医者を開業する気は全くなかったわ。でも医大に行ってよかったと思うことが二つあるわ。一つはその時、友達とレズの味を覚えたということ。もう一つは私、専攻が産婦人科だったから、女の心と身体のメカニズムを熟知できたということ。
 この莫大な財産と専門知識と技術を使えば、ほんもののSMレズが楽しめることに気がついたの。
 もう、分かったでしょ。ローンの返済ができない女をSMレズ責めにかけるのよ。つまり、元金や、積もり積もった利子を身体で支払っていただくという訳ね。うちみたいな所からお金を借りなければならないような女は、責められたことを口外できない事情を必ず持っているものなの。もちろん、誰彼構わずそういう取り立てをするというのではないわ。住宅ローンの返済の遣り繰りがつかないとか、海外旅行の資金に、とかいうお客は駄目。男女関係やセックス問題が絡んでいるお客だけを厳選するの。
 目星をつけた客については、私立探偵を頼んで、あらかじめ十分調査しておくから、ドジな事には絶対にならないの。すでに、もう何人か候補者リストに載っているのよ。
 責めると言っても、男の人がよくやるように荒繩で縛ったり、鞭で叩いたりというような、肌に傷を付けるようなことはしないのよ。出血もできる限り避けるようにするわ。体力の消耗は極力避けて、長い時間をかけて女の美しさを最大限に引き出しながら、じっくり責め込んでいくというのが、私のやり方なのよ。女にはね、女だけの責め方ってものがあるの。
 ところで北村さん、あなたの仕事だけど、あなたには、そのSMレズ責めの助手をやって欲しいの。あなた、ここに初めて来た時、男嫌いだって言ったでしょ。私、ピンときたの。『レズだな』って……」
 驚くべき告白に、物も言えず唖然として聞いていた私は、自分のことをレズビアン呼ばわりされて、うろたえました。
「そ、そんな。私、レズビアンなんかじゃありません。幾ら何でも失礼よ」
 怒りに声が震えてしまったことに自分でも気付きました。
「そんなに腹を立てることはないわ。レズビアンだということ、恥ずかしいことでも隠すべきことでもないのよ。男が果てたらそれで終り、という異性愛に比べて、レズの愛の方が遥かに深く永続的なものだわ。それに妊娠というやっかいな心配もないし……。第一、男の股間にぶら下がっている物、あれ、グロテスクであまりにも醜いわ。あなた、そう思わない? それとも、男嫌いのあなたのことだから、まだ見たことないかしら……」
「しっ、知りません! そんなこと……」
 私は恥ずかしさに顔が火照るのを、どうすることもできませんでした。
「まあ、いいわ。今晩、これからあなたにレズの素質があるかどうか、じっくり検査、実験させてもらうのだから。いいわね」
「いやっ、もう帰らせて下さい」
「あら……。そうすると、あなた二億円、欲しくないと言うの?」
「ええっ! 二億円?」
「そう、もしあなたがこれから私の助手として献身的に働いてくれたら、私、あなたに財産の一部を分けて上げてもいいって考えているのだけれど……その権利も放棄するつもりなの?」
 全く夢のような申し出に、私は軽い目まいのようなものさえ感じました。
「あなたは口では否定するかもしれないけれど、検査するまでもなく、九十九%、あなたにはレズの素質があると睨んでいるのよ。だから財産譲渡についても、すでにかなり具体的に考えているの。本物のレズ、しかもSとMの両刀使いの調教のできる女なんて、ほんとに一生に一人出会えるかないかぐらいの希少価値があるの。
 さっき私、借金の取り立てにSMレズ責めをするつもりと言ったけれど、今晩のは責めではなくて、あなたの内に眠っているレズの感覚を呼び覚まし、レズ愛がどれほど素敵なものかを身体で覚えてもらうためのものよ。今後のお客相手の責めで、女がどんな感覚にのたうちまわるか、それを助手を勤めてくれるあなたにも実感として把握しておいてもらいたいの。そうすれば、責めのテクニックとかタイミングとかがうまくいくのよ。
 レズのネコ、つまり女役は、必ずS性を秘めているものだわ。そのS性の悦びを一度味わったら最後、どんな女でもその虜になってしまうの。そして私のような生まれつきのSの女にとって、無垢の女がS性に目覚めた女によって責めさいなまれる場面くらい、素晴らしい眺めはないのよ。
 もっとも、責められる側にとっては、これほどつらいことはないでしょうね……女の生理も心理もすっかり見透かされたまま、責められ続けるのですもの。私自身が手を下すのもいいけれど、責め手って、案外忙しいのよ。相手の様子に逐一対応していかなければならないでしょ。だから、ゆっくり楽しませてもらうためには、どうしてもレズとSMに通じた忠実な助手がいるのよ。
 でも今晩は練習だから、あなたは何の心配もいらないわ。本番では色々な責め具や薬、電気などを使うので、苦痛と快感が共存することになるのだけれど、今晩は私の身体だけを使って、あなたを思いっ切り歓ばせて上げる。
 使う道具と言ったら、特製ベッドだけ。あなたを襲うのは快感だけのはずだから、安心して頂戴。それに最初から凝った淫具を使ったのでは、自分の肉体と心理の変化を冷静に観察して、後日の責めに役立てるどころではなくなって、へたをすれば発狂……なんてことになりかねないわ。あなたのように、一生に一人巡り会えるか会えないかというような貴重な人に、もしものことがあったら、それこそ大変……」
 そうした説明を聞きながら、私の頭の中は、「二億円」、「レズ」、「SM」という言葉がぐるぐると渦を巻いていました。
 
 
 
 
〜〜『SMレズ調教』(東条ゆかり)〜〜
 
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