ホ ン の 〈 お さ わ り 〉



砂戸増造    母と息子 媚薬の生贄

目 次
第一章 魔性の新薬
第二章 同性の蜜啜り
第三章 五本の鉗子
第四章 息子の肛姦奴隷
第五章 忌わしき前後姦
第六章 最後の欲情地獄

(C)Masuzo Sado

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   第一章 魔性の新薬

 咽び泣くように喘ぐ女のわななくふくよかな唇を、うねる白い裸身にのしかかった男の唇と舌が嬲る。
 まだ満ち足りない男は硬直を肉門に埋めたまま、熱い媚肉の快美の余韻の痙攣と、胸を擽る勃起した乳首の疼きに酔い痴れている。
 女の淫悦に呆けた眼は、暗い窓外の田園風景の中にほの白く浮かび上がる巨大な建物にぼんやりと注がれていた。
「綺麗だわ!」
 十年前に都心から移転してきた私立の名門N医科大学のキャンパスと附属病院の白い巨塔群だ。
 女は内科の外来婦長の西村智絵、男は世界有数の製薬会社オメガ・ファルマシア社日本支社学術部新薬課のN医大担当係長の坂本達也である。
 男も女の視線に誘われてライトアップされたように、暗い夜空に浮かぶ白いビル群に目を向けた。
 製薬会社のプロパー(今はMR=メディカル・リプレゼンタティヴと呼ばれるが、病院では古くからの呼称が使われている)と看護婦長と立場は違うが、二人が一日の大半を過ごし、生計を立てる職場なのだ。
 坂本達也は薬大出身の薬剤師免許を持つプロパーなので、医薬品に関する知識はかけ出しの若い医師よりも豊富で、担当の診療科でも薬剤部でも信頼が厚く、会社では売上げのトップ三位以内にいつもランクされ、課長昇進も間近い有能なセールスマンである。
 しかも甘い端麗なマスクの持ち主の彼は、女性医師、看護婦、薬剤師たちにもてもてで女には不自由しない艶福男なのだ。
 男も女もお互いに今なにを考えているかが手に取るように分かる。
 やがて二人の顔が向き合うと、男が甘い邪悪な声で囁きながら、ゆっくりと腰をくねり躍らせ始めた。
「よかったろ、姉さん? 抱くたびにいい味になるな。彼のお仕込みがいいんだ」
 女も悩ましげに喘ぎ、腰を突き上げる。
「やめて、達也、それは言わない約束よ。あなたこそするたびに巧くなるわ。これで何十人の女を狂わせたの? 悪い子ね!」
「オレに女の味を教えたのは姉さんだぜ。性悪の淫乱女がよく言うぜ。またいいのか? 彼と俺とどっちがいい?」
 男の腰の動きが荒くなり、女はのけ反って悩ましげに啜り泣き、むっちり熟れた白い下肢を悶えて凶暴な抉り突きに応える。
「はああっいいわ、達也! お願いだからあの人のことは言わないで……もっと愛して! あなたが欲しいの……あたしの中に出して……あああん、なんて硬いの!」
「俺もいいよ、まるで熱い蜜の壺みたいないいおま×こだ! あいつが妬ける……」
 邪淫の囁きをうわずる声で交わし、淫らに絡み合う男と女は、実は血を分けた姉弟なのだ。
 三十八歳の熟女の姉と二十八歳の弟が、背徳の肉愛に誘われて男と女になったのは十五年前からだった。

 姉が高二、弟が小一の時、両親は交通事故で亡くなり、母の兄である伯父が二人を引き取ると言うのを拒んだ智絵は大学進学をあきらめて弟を育てながら、N医大附属の看護学校を卒業し、正看護婦の免許を取り、弟を薬大に進ませた。
 二人の姓が違うのは、子供のない父方の叔父夫婦が達也を養子に迎えたからだ。
 美貌の智絵には何度も結婚話があり、若い医師たちから熱烈なプロポーズも受けたが、勤務の忙しさと弟可愛いさに紛れて婚期を失してしまった。
 弟の達也も十三の少年の時に味わった姉の体が忘れられず、次々に言い寄ってくる美女たちのベッドの相手に追われる上に、深夜までの接待や休日のつき合いゴルフ、週二回の販促会議と新薬の講習などの超過密な勤務をこなすのがやっとで、上司や伯父がうるさくすすめる縁談など真剣に考えたこともない。
 達也は知らないが、高校三年の時に母方の伯父に処女を奪われ、看護学校を卒業するまで好色で冷酷な中年男の性の奴隷として仕えさせられた姉の、成熟した女体と淫技で男の悦びに目覚めた少年はそれ以来年上の熟女にしか欲情を感じなくなり、二十八歳の大人の男になった今も、結婚の相手にふさわしい年下や同じ年頃の娘たちには目もくれず、四十前後の美しく熟れた人妻や独身のキャリア・ウーマンしか抱く気にならないのだ。
 母親代わりだった姉の智絵とは、今でも週に一夜は必ず変わらぬ愛を交わし合っている。
 会社の女性管理職、接待に使う高級クラブやバーのママとホステス、講師クラスの女性医師、婦長や主任のナース、薬剤師とベッドのパートナーには不自由しないが、決まった愛人と呼べるのは姉と、六本木のバー『ドミニク』のママのナオミくらいだ。
 もうすぐ三十九の誕生日を迎える姉のあでやかな美貌と熟れ切った女体は、外来主任だった三年前からの愛人に磨きをかけられて、達也を嫉妬に狂わせるほど味わい深くなった。
『ドミニク』のナオミは姉より二つ年上の四十歳だが、フランス系ハーフの華やかな美貌と白人女のしなやかで美しいプロポーションの肢体の持ち主で、淫乱奔放な性技と締まりのいい蜜壺のような女芯の肉門で達也の恍惚の淫悦に痺れさせる上に、男女両刀使いで、美しい同性と美少年には冷酷非情なドミナを演じ、愛している男には絶対服従の可愛いマゾ奴隷になれる重宝で絶妙な快楽のパートナーなのだ。
 ナオミには五十代後半のパトロンがいるが、十二も年下の達也を結婚してもいいほど熱愛していて、どんな無理な注文でもいやとは言わず、他の男とは寝ていない。
『ドミニク』という店の名でも分かるように、妖しい淫靡なムードの漂うヨーロッパの王宮を想わせるインテリアの店には、常時六人の十五から四十五までの美人ホステスがいて、四人はマゾ、二人は両性嗜好のサドで、地下にはあらゆるSMセックスを楽しむための器具や衣裳を揃えた拷問部屋と二つの寝室、ナオミ専用の事務室と快楽の密室がある。
 自在に動く巨大なベッドを中央に置いた、天井と二面の壁が鏡の寝室に入れるのは、男はパトロンの新田と達也だけで、ナオミのレズの淫虐の生贄となる美女たちに制限はない。達也が抱いた美しい熟女たちは一人残らずナオミのレスボスの欲情と悦虐の快楽に捧げられたが、姉だけは例外だった。
 智絵だけは彼の特別な女なのだ。


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