ドラマ『太王四神記』の中に占める神話時代の話はそれほど放送時間を割かれている内容ではない。ドラマの第一回で、「コムル村」のヒョンゴがスジニへ昔話のように口承の神話を聞かせるかたちになっている。
けれど、ここに出てくる話は、ドラマ全体の内容を把握するために必要な大前提であり、根拠でもあるのだ。
しかしながら、ドラマの中で話される神話時代の話は、韓国の伝統的な「タングン神話」とは内容が違っている。
ここから『太王四神記』の「タングン神話」と本当の「檀君神話」の違いをご説明していこう。
本当の「壇君神話」というものは、高麗時代に「イルヨン(一然)」という僧侶が書いた「三國遺事」という史書に載っているものだ。ここでは、その内容を簡単に紹介する。
「ファンイン(桓因)」の息子である「ファヌン(桓雄)」が天下を志し人の世を欲しがると、ファンインがその気持ちを汲んで、彼に天符印三つを授けて、人の世に下りて治めるようにした。「ファヌン(桓雄)」は群れ三千を導いて太白山のシンダンス(神檀樹)の下に降りて、その場所を神市と呼び「ファヌン(桓雄)天王」になった。彼は雨・風・雲神を従えて人事を主管しながら人世を治めた。
この時、洞窟に暮していた「熊」と「虎」が「人間になりたい」と願い出た。神は、「熊」と「虎」へヨモギやニンニクを与え、百日間日光を見るなと命じた。「熊」だけが、神の言いつけを守って三七日目に「人間の女(=熊女)」になった。
「熊女」はシンダンス(神檀樹)の下で婚姻して懐任するように祈った。「ファヌン(桓雄)」がしばらく熊を人間に変えて、熊女は懐任し息子を生んだ。その息子のことを「タングンワンゴム(檀君王倹)」と言う。
この「タングン(檀君)」がピョンヤン(平壌)城に都邑して朝鮮と呼んだ。またアサダル(阿斯逹)に移して千五百年間にわたって国を治めた。周の武王が箕子を朝鮮王に封ずると、「タングン」はジャンダンギョン(藏唐京)に移してからアサダルに帰って来て隠れて山神になった。
これが、「タングン神話」のお話だ。
そもそも、神話や伝説などは、数千年間をかけて、口承で伝えられてくるものだから、その内容にはさまざまな追加と削除が繰り返され、口承で伝える人の考え方や、当時の社会の価値観や感性が反映されている。
ここにある話も、全体的な内容は天を象徴している男性と地を象徴している女性との神聖なる結婚の話であり、その話を元に古朝鮮を創建した「壇君」が生まれたという建国の由来を語っていることになる。
しかし、ドラマ『太王四神記』では、この「檀君神話」の原型をそのまま使っているわけではない。もちろん、「ファヌン(桓雄)」についてはあまり変更が加えられていないが、「熊」と「虎」の話については、もっと現実的に解釈して描かれているのだ。