クアンタム・マインド占星術では、コンサルテーションのプロセス全体をセラピーとして組み立てます。
この理論では、基本的に、ホロスコープ上の各天体は人間の持つさまざまな欲求であり、人間はそれらを充足するための行動パターンを形成すると考えます。
心理学者アドラーのライフスタイル分析や精神科医エリックバーンの交流分析では、幼少期に両親との関係や家族の人間関係の中で、特徴的な行動パターンが形成されると考えます。
8〜10歳ごろまでのいろいろな体験の中で基本的な特徴が形成され、次第に無自覚に定着していきます。これが、大人になり家族から独立して社会生活を送るようになり、環境に求められる条件が変わっても、無自覚になった行動パターンは変化しにくく、さまざまな心理の動きに影響を与えていきます。
心理占星術では、このような特徴的な行動パターンがどのように形成され、また、無自覚に継続し、あるいは維持された特徴が大人になったときの心理の動きにどう影響していくかという「成長のシナリオ」を考察していきます。
クアンタム・マインド占星術では、これらを考察する視点として、とくに行動パターンの特徴(半球の強調)、主要な欲求とその充足へのアプローチ(太陽と月)、成長をもたらす緊張(アスペクト分析)、そして、防衛メカニズム(特定の天体配置)の4つの要素に関する考察を組み合わせて分析を進めていきます。
わかりやすくするために、とても単純化した比喩的な「お話」に基づいて説明を進めましょう。
子ギツネが高いところにあるぶどうに跳びついても届かず、「あのぶどうは酸っぱいから食べない方がよい」と自分に言い聞かせるイソップのお話を思い出してください。
おいしいぶどうを食べ、満たされることが「主要な欲求とその充足へのアプローチ」にあたります。高いところにあるぶどうへ向かって背伸びしたり、跳びついたり、何とかしようと策を練ったりしていることが「成長をもたらす緊張」です。
しかし、背の低い子ギツネは、次第に自分のいたらなさから目を逸らし、今すぐ充足できない欲求を手懐けるために「ぶどうは酸っぱい」と強く思い込みます。これが「防衛メカニズム」です。
背が届かない間はぶどうに手を伸ばして失敗するごとに「あのぶどうは酸っぱい」という呪文を唱えながら欲求をコントロールし、そのうちぶどうを食べたいとも思わなくなる程パターンが無自覚に染み付いてしまいます。ぶどうから背を向けるというのが形成されてくる「行動パターンの特徴」です。
こうして何年も経ち、子ギツネは成長し大人になり背も高くなっておいしいはずのぶどうに手が届くようになりました。しかし、「ぶどうは酸っぱい」という呪縛のため手を出さなくなってしまっています。
背の高くなった子ギツネが、素直にぶどうを食べられるようになればどんなに幸せが増えることでしょうか。実際の人生では、このような話しがたくさん絡み合って「成長のシナリオ」を形成していくのです。
この例により、行動パターンがどのように形成されるか、防衛メカニズム(呪文)がどのように機能するか、どうすれば成長に合わせて適切な行動パターンに修正していくことができるか、を考察することが幸せ(あるいは総合的な欲求の充足)にとっていかに重要かということが理解できるでしょう。